近視抑制治療について
当院では2017年2月からオルソケラトロジー、多焦点ソフトコンタクトレンズ、低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制治療を行っています。
繰り返しになりますが、近視が進行して強度近視になると大人になってから緑内障や黄斑部萎縮などになる可能性が高まり、これらに罹患しひどくなると、眼鏡等をかけても見えない、治療をしても治らない、そしてそれが一生続くということになります。したがって近視進行抑制治療の目的は、近視が特に進行しやすい小児期にできるだけ近視進行を抑制することにより、将来これらの病気になる危険性を低下させることです。
1)オルソケラトロジー
・オルソケラトロジーとは、オルソケラトロジーレンズ(以下OKレンズ)を夜間につけて寝ることにより角膜を平坦化して近視矯正をし、昼間は裸眼で生活できるようにするものです。この治療により近視進行が抑制されることが報告されています。
・オルソケラトロジーは永続的な治療ではなくいつでもやめることができ、治療をやめれば視力は1週間くらいで元に戻ります。つまり本治療は近視が治ってしまう治療ではなく、あくまで近視を矯正する治療ということになります。
・このOKレンズは酸素透過性が高く、夜間睡眠時に装用することが厚生労働省から承認を受けています(医療機器承認番号:22400BZX00094000)。ただレンズを目につけるのですから、当然目に傷が入ったり細菌が入ったりする危険性があります。そのためOKレンズの洗浄、消毒等日々のケアが非常に重要になります。
・合併症としては角膜上皮障害や.角膜感染症(黒目に傷ができて菌が入る)で、これらを起こさないように使い方を守って、レンズケアと定期検査をしっかりしましょう。その他にも角膜内皮障害、アレルギー性結膜炎、ハロー・グレア,コントラスト視力の低下、不正乱視、角膜混濁等を生じることがあります。もし痛みがあったり見えづらかったり、何か変だったら早めに当院にご来院ください。
・普通のコンタクトレンズとは異なる特殊なレンズですので、ケア用品は当院指定のものをお使いください。
・オルソケラトロジー治療は保険適応外になりますので、治療に関わる費用は全額自己負担となります。しかし医療費控除の対象となりますので、領収書は大事に保管しておいてください。
・装用体験開始後またオルソケラトロジー治療開始後は、指示された受診日には来院して、異常がないかどうか診察を受けてください。
・OKレンズは一般的に2年間使用したら交換が必要となります。
▼治療料金プラン▼
➢初年度:両眼 150,000円/片眼 80,000円+ケア用品費
➢ 2年目:年間 20,000円+ケア用品費
➢ 3年目:年間 両眼100,000円/片眼 60,000円(レンズ更新費含む)+ケア用品費 (以上全て税別)
■装用体験(1~2週間)もできます
装用体験保証金:両眼:30000円(片眼:15,000円)
・お試し体験後、治療開始の場合
→保証金をお返しし、本治療費150,000円をお支払いいただきます。
・お試し装用後、治療を行わない場合
→装用体験保証金全額:両眼 30,000円(片眼 15,000円)をお返しします。
2)多焦点ソフトコンタクトレンズ
・遠近両用コンタクトレンズとして知られているレンズを用います。装用中は良好な視力が得られるとともに近視の進行を抑制できます。使い捨てのため、衛生面での管理が比較的容易です。
・近視が強くても使用可能ですが、日中に装用するため、何かあった時に自分で外せるなどの自己管理が可能な年齢の方が対象です。
・オルソケラトロジー同様、合併症としては角膜上皮障害や角膜感染症、角膜内皮障害、アレルギー性結膜炎、ハロー・グレア,コントラスト視力の低下、不正乱視、角膜混濁等を生じることがあります。コンタクトレンズの使い方を守って、レンズケアと定期検査が重要です。もし痛みや見えづらさや、その他何か変だったら早めに当院にご来院ください。
3)低濃度アトロピン点眼
1,リジュセア®ミニ点眼液0.025%
・リジュセア®ミニ点眼液0.025%(承認番号 30600AMX00287)よる近視進行抑制治療については、点眼を行わない場合に比べて、小児の屈折値の進行や眼軸長の伸び(眼球の伸び)を抑制することが確認されています。
・主な副作用としては羞明(まぶしさ)があります。
・本治療は、近視の進行を抑えることを目的としていますが、視力を回復させるものではありませんので、近視の程度に応じて眼鏡等での視力矯正が別途必要となります。
・治療スケジュール・費用
大変申し訳ありませんが、本治療は公的医療保険がききませんので、検査・薬剤費用は全て自由診療(公的医療保険の対象外)となります。
治療スケジュール | 費用(税込) |
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初回 | 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(4,360円) |
2回目(初回から1ヶ月後) | 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(8,720(4,360×2)円) |
3回目(初回から3ヶ月後) | 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(13,080(4,360×3)円) |
なお、副作用等で治療を中止した場合でも、一旦処方した点眼薬については原則、返品・返金に応じることはできませんので、あらかじめご了承ください。
2, 0.01%マイオピン点眼液
・当院では0.01%マイオピン点眼治療も行っています。マイオピンは上で述べたリジュセアミニ(0.025%アトロピン硫酸塩水和物)と同成分、異濃度の点眼液です。
・したがって治療目的や副作用はリジュセアミニと同様で、効果は若干劣り、副作用は若干軽いと言われています。
・当院が近視抑制治療を始めた頃は0.01%のものしかなく、現在も0.01%で効果も良好で問題なく使用されている人も多く、当院では引き続き0.01%マイオピンを使用していこうと考えております。
・ただ0.01%マイオピンは国内未承認薬剤で、Eye-Lens Pte Ltd社より入手しています。本治療も公的医療保険がききませんので、検査・薬剤費用は全て自由診療となります。
治療スケジュール | 費用(税込) |
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初回 | 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(3,700円) |
2回目(初回から1ヶ月後) | 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(7,400(3,700×2)円) |
3回目(初回から3ヶ月後) | 診察・検査費用(2,000円)+点眼薬費用(11,000(3,700×3)円 |